庵治石の産地は、香川県高松市の東、庵治半島のほぼ中心に位置します。庵治石の丁場には、約50事業者ほどの丁場がありますが、中でも最高品質の細目・中目が産出されているのは大丁場からです。庵治石の中の庵治石、それは、大丁場で採掘できる石のことです。
庵治石の特徴はきめの細かな地肌です。花崗岩の主成分は石英、長石、雲母ですが、庵治石はこれらひとつ一つの結晶が小さく、細粒黒雲母花崗岩に分類されます。細目(こまめ)は小さな黒雲母の数が多く、磨けば青黒い細かな紺(こん)がすりのようになります。その上、最大の特徴の「斑(ふ)が浮く」という現象があります。また、石英、長石、雲母などの結晶が小さく、その結合がち密なために、他の花崗岩に比較して硬い ことも特徴の一つです。石英、水晶と同じ七度という硬度のため、細かな小さい部分にわたる細工が可能であり、結晶結合がち密なため、水を通しにくい。さらに風化・変質にも強く、幾世代にわたり彫られたものが崩れたり、変色しにくく、艶がなくなったりしないのが大丁場の庵治石です。